【デュアルキャリアラダーの作り方】管理職以外にも魅力的なキャリアパスを提供する方法

企業が成長し続けるためには、従業員のキャリア開発をどのようにサポートするかが重要です。特に、管理職を目指す従業員だけでなく、専門職としてのキャリアを追求する従業員に対しても公平で魅力的なキャリアパスを提供することが求められています。そこで現在、注目されているのが「デュアルキャリアラダー」です。
デュアルキャリアラダーは、従業員が管理職(マネジメント)と専門職の2つのキャリアパスから選択できる仕組みを提供する制度です。この制度を導入することで、管理職に適さない優れた技術者や専門家を引き留めることができ、企業全体の成長に繋がります。
この記事では、デュアルキャリアラダーを構築するための具体的なステップについて解説します。
1.デュアルキャリアラダーの目的とゴールを明確にする
まず最初に、デュアルキャリアラダーを導入する目的をはっきりと定義しましょう。目的を明確にすることは、制度の設計を成功させるための基盤となります。次のようなゴールを持つことが考えられます。
・管理職志向ではないが、優れたスキルを持つ従業員を活かす
・専門職としての成長をサポートし、従業員のモチベーションを高める
・優秀な人材の離職を防ぐ
・専門知識を企業内に蓄積し、技術力を強化する
これらのゴールを設定することで、デュアルキャリアラダーの構築に置いて方向性が明確になり、企業全体の戦略に沿った取り組みが進めやすくなります。
2.管理職と専門職のキャリアパスを設計する
次に行うべきは、管理職と専門職それぞれのキャリアパスを具体的に設計することです。両者の役割や責任、スキル要件、昇進基準を明確にし、従業員が自分に合ったキャリアパスを選択できるようにします。
・管理職キャリアパス
チームや部門を管理し、業績目標を達成するためにリーダーシップを発揮する役割を担います。従業員の育成やチームのパフォーマンス向上など、マネジメントに特化したスキルが求められます。
・専門職キャリアパス
特定の技術や知識において深い専門性を持ち、会社全体の技術力や品質向上に貢献します。シニアエンジニア、リサーチャー、技術スペシャリストといったポジションが該当します。このルートでは、マネジメントではなく技術や専門知識がキャリアの中心となります。
それぞれのキャリアパスにおける昇進基準や報酬体系は、公平で魅力的なものにするとことが重要です。専門職でも管理職と同等の評価や報酬を受けられるようにすることで、専門職としてのキャリアを選びやすくします。
3.キャリアの評価基準を明確にする
デュアルキャリアラダーを成功させるためには、明確な評価基準が欠かせません。どちらのキャリアパスを選択する場合でも、昇進や評価において公平で透明性の高い基準を設けることが重要です。評価基準があいまいであれば、従業員がどのようにしてキャリアを進めればよいかが分かりにくくなり、制度が形骸化してしまう恐れがあります。
・管理職キャリア
リーダーシップや業績、チームの育成力が重視されます。定量的な目標達成率だけでなく、部下の育成やチーム全体のパフォーマンス向上に貢献したかといった評価も含めるとよいでしょう。
・専門職キャリア
技術や知識の深さだけでなく、技術的なイノベーションやプロジェクトへの貢献度、他のメンバーに対する技術的なサポートなども評価に含めるべきです。
4.支援プログラムの導入
キャリアパスを選んだ従業員が適切に成長できるように、支援プログラムを導入することも重要です。管理職を目指す従業員にはマネジメントスキルを、専門職を選択する従業員はには最新の技術や専門知識を提供するための学習機会を整えます。
・管理職志向の従業員
リーダーシップ研修、プロジェクトマネジメント、コミュニケーションスキル向上といったプログラムを提供します。
・専門職志向の従業員
新しい技術やトレンドに関する研修、社外セミナーへの参加、社内での技術交流会などを設けて、最新の知識を習得し続けられる環境を整えます。
こうした支援プログラムは、従業員の成長を促し、長期的なキャリア形成に貢献します。
まとめ
デュアルキャリアラダーを導入することで、企業は管理所以外にも魅力的なキャリアパスを提供し、優秀な専門家や技術者を引き留めることができます制度の構築には、目的の明確化や評価基準の設定、トレーニングプログラムの整備など、いくつかのステップが必要です。